2026.05.27

第1回:なぜ今、建設業に「脱炭素」が求められるのか? 政策と業界の最新動向

2026年5月27日公開

好評につき、連載コラムの継続が決定しました!
コラムの中では、建設業とCO2、その本質と今やるべきことをコラムでわかりやすく解説します。
CO2排出やライフサイクル、Scope3、インフラ現場での具体例など、建設現場・企画・設計すべての方へ「納得」と「行動」のヒントをお届けします。

1. 背景:なぜ今、建設業に「脱炭素」が必要なのか?

皆さんは、ここ最近、日常生活の中で、「異常気象」、「気候変動」を実感する機会はありませんか?また、ニュースや新聞などでも、「カーボンニュートラル」、「脱炭素」といったキーワードを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

気候変動が私たちの日常生活に深刻な影響を与える中、世界中の国々は気候変動を抑えるためにCO2をはじめとする温室効果ガスの削減に向けた取り組みを本格化しています。

世界のCO2排出量のうち、建築物関連の排出は、約40%を占めています(2022年実績)。
2050年までにカーボンニュートラルを達成することが、世界共通の目標となる中、その4割を占める建物関連のCO2排出量の削減は非常に重要となってきます。

図:建物からの世界のCO2排出量(新築工事に伴う排出量を含む)、2022年
出典:IEA、The energy efficiency policy package: key catalyst for building decarbonisation and climate action

建築物は、建物が完成した後に運用する段階で使用するエネルギー等から排出されるCO2だけではなく、建築資材の製造や建物の建築時、修繕・補修、解体廃棄など様々な段階で温室効果ガスを排出します。

なお、住宅・建築物の使用に伴う排出(オペレーショナルカーボン)は、世界のCO2排出のうちの約27%、建築物の建設で使用する建材の製造や建物の維持管理、解体等で出る排出(エンボディドカーボン)は約10%となっています(2023年度)。

また、日本においては、業務部門(オフィスビル、商業施設など)からのCO2排出量は、2019年度時点で日本全体の約2割を占めています。
1990年度以降、産業部門からのCO2排出量が24%減少した一方、業務部門からのCO2排出量は48%も増加しています。
他部門と比較して排出増が著しいため、日本全体のCO2排出を削減するためにも建築物が深くかかわる業務部門からの排出削減は、重要な課題となっています。

2. 政策動向:国が推進する規制と制度

前述のとおり、建物のライフサイクル全体でCO2排出量を削減していくことが重要だということは世界共通の認識となってきており、欧州では多くの国で、建物のライフサイクル全体でのCO2排出量の評価・削減を義務付ける制度が動き出しています。

また、EU全体でも、2028年から、一定規模以上の新築建築物に対して、ライフサイクルCO2を算定・報告・削減することを義務化する制度の開始が決定しています(EU建築物エネルギー性能指令)。

日本においても同様の制度構築に向けた取り組みが始まっています。
2024年11月には、8つの省庁が連携し「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」が発足して各種の政策議論が始まり、2025年2月には、「GX2040ビジョン~脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂~」、「地球温暖化対策計画」・「政府実行計画」といった内閣・政府の正式文書に、建築物のライフサイクルCO2排出量の算定・評価・削減を促進する制度を構築することが明記されました(2028年度から制度運用が始まるのではないかと言われています)。
その後、政策の具体的内容についての検討が進められており、取組促進に向けた様々な支援策等が開始される予定です。

2022年に建築物省エネ法及び建築基準法が改正され、原則としてすべての新築建築物に対し、省エネ基準への適合が義務化され、順次施行されました。また、住宅トップランナー制度が拡充され、省エネ基準を超える水準「トップランナー基準」を満たす設計を努力義務としています。
さらに、新築建築物の広告に、国土交通省が定める「省エネ性能ラベル」を表示することが努力義務となりました。

3. 支援制度:脱炭素化実現に向けた主な支援・補助金

建築物の脱炭素化、省エネ化の実現を促進するために、国は様々な支援策を実施していますが、ここではその一部を紹介します。

・サステナブル建築物等先導事業(LCCO2評価先導型)

CO2削減に向けて先導性が高い建築物・材料・設備等の省エネ・省CO2プロジェクトを公募し、プロジェクト対象費用の1/2を補助する事業です(上限3億円)。

・既存建築物省エネ化推進事業

民間事業者等が行う省エネルギー改修工事や省エネルギー改修工事等に対し、国が事業の実施に要する費用の一部(補助率は1/3、上限5,000万円/件)を支援する事業です。

他にも建築物の省エネ化に関するさまざまな支援策が実施されています。以下のサイトにまとめて紹介されていますので、関心のある方はご覧ください。

4. 業界の最新動向:脱炭素を実現する具体例

建設業界における脱炭素化の取り組みは、設計から施工、資材調達に至るまで、全フェーズで技術革新が加速しています。
建設会社にとって、これらの最新動向への対応が今後の競争力を左右する可能性があります。

建築物の省エネ・創エネ

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が本格化しています。太陽光パネルや蓄電池の標準搭載により、運用時のCO2排出量を実質ゼロにする建物が急増しています。

建材のイノベーション

製造時のCO2排出量を大幅に抑えた「低炭素型コンクリート」の使用や、木材による炭素固定効果を狙った「高層建築の木造化」も新たなトレンドとして注目され始めています。

施工フェーズの脱炭素化・効率化

建築現場では、電動重機の導入や水素燃料の活用も始まっています。さらに、BIM/CIMをはじめとする施工DXにより、手戻りや資材の無駄を徹底的に削減する取り組みも進んできています。

本連載コラムでは、建設業の脱炭素化に向けて、「何から手をつければいいのかわからない」という担当者の方に向けて、最新の動向や具体策など実践的なテーマに関する話題を定期的に発信していきます。
ぜひ、次回以降の連載コラムもチェックしてください。

また、シビルグリーンラボの各記事では、建設従事者の皆様に役立つ様々な情報を掲載していますので、変化の激しい時代を乗り越える情報源として、ぜひ本サイトをご活用ください。

<< コラムサイトへ戻る >>
!

エラーが発生しました。

次のいずれかの理由が考えられます。

比較可能な数量を超えたため
カートに追加できませんでした。
比較できる点数は20点までです。
「工種・工法」と「資材」を同時に
比較することはできません。
カート内を整理してご利用ください。
2点以上をカートに追加してください。
カート内容を確認する カート
空にする
!

カートへの追加
ありがとうございます。

会員登録をすれば、
カートに入れた製品の
比較表のダウンロードができます。

会員の方はこちら(ログイン) 新規会員登録
!

お気に入り登録
ありがとうございます。

会員登録をすれば、マイページより
いつでもお気に入り登録した商品を
見返すことができます。

会員の方はこちら(ログイン) 新規会員登録